神田佳明 写真展
「懐かしの歳月~さようなら20世紀~」

 朝鮮動乱が終結した昭和28年ごろから耐乏生活に別れを告げ、牛や馬の引く荷車、人が汗して引くリヤカー、洗濯板にタライも次々と姿を消し、ガソリンと電気で動く機械文明のオンパレードが始まりました。
 写真機も暗箱から小型カメラへ。私の写真撮影はこの頃から始まったのです。本格的に撮りだしたのは、地元京都のローカル紙への入社。報道写真を任されてからでした。
 国賓や著名人、事件物まで幅広い被写体にレンズを向けることが出来ました。自動車に撥ねられ雪の降る路上にムシロを被せて放置の現場写真が契機になって、警察が毛布使用を通達した。という重大事件もありました。DDTの消毒、畳を上げての町一斉の大掃除、軒下に来てくれた傘屋さん、『こうこうはいらんかね~』と漬物を売り歩く呼び声。戦争の余波をまともに受けた学校は講堂が無いので青空卒業式、雪の舞う寒空の日もありました。川での水泳教室。今では見られなくなった半世紀の点描をご覧ください。
 馬上の写真は45年昔の阿蘇山へ登った18歳の某カメラマン。これに比べ50年を過ぎた町の変貌は『宇治の町』でご覧の通り、写真の記録は歴史の偉大な証人だ。と言うことを実感して頂ければ幸いです。

2000年12月15日  
神田 佳明