辻井清一郎 写真展
「伝統の金春」

 過去35年間、金春流の能楽写真を撮影してきました。しかし、初期の頃は現在ほど演能の回数も多くなく、私自身、会社員として別の業界の仕事としていたため、撮影日数も年間数回程度でした。撮影回数の多くなったのは、会社員生活の第一線を退いた10~15年前からです。
 他流の能は殆ど見ていませんが、金春流は王流の中では最も歴史が古く、その遠祖は飛鳥時代に遡ることができ、その演出は技巧に走ることなく、古雅・古式の様式を残していると云われています。そのような金春の能に惹かれ、東京近辺での演能を主体に撮影してきました。
 今回は近年撮影した演能写真の中から20数点を展示します。芸術的な写真を撮るよりも、記録ということを重視してきましたので、皆様の期待に添えない点もあるかと思いますが、皆様のご批評をお待ちしております。

2000年12月  
辻井清一郎