能楽写真展・神田佳明
「能楽の美」

 能・狂言が始まって有に600年を数えると云う。泰平の時代や戦国の世も変わることなく芸の伝承を経て、いまに観る華麗にして厳しいドラマは他に例を見ない。
 能楽の舞台を彩る能面、能装束そして囃子のリズムに八人の地謡。能面を掛けた主人公から聞こえる謡など、どれを取っても万華鏡のごとき美しさに満ちあふれている。
 レンズで狙うカメラは一瞬の動きを逃すまいと一挙手一投足の所作を追い続ける。この度の展覧写真は、舞手の緊迫してくる主張の高まりの刹那を撮り切って来た作品群です。
 展覧はお能に加え、狂言の自由闊達なあの大きい声が聞こえて来るようなハイライト場面や、コンピューターを駆使して作ったインクジェット出力による布プリントも併せて展示いたします。

2001年3月  
神田 佳明