東京下町の詩
新里源治写真展
東京下町の詩 新里源治写真展

喧騒の大都会でもある東京下町の庶民にも、じわりじわりと味気ない環境に追いやられているように感じた私は、下町写真撮影の意欲を失っていました。
 ところが1984年5月の初め、まばゆい陽気に誘われた私は、中央区佃2丁目におりました。 そこに住む人々は明るく、花と緑の路地は風情を醸し出しており、私はゆっくりと楽しく、カメラのシャッター音を響かせました。
 それからの私は、下町各地の祭りの情緒、市の風物詩、隅田川の花火、伝統技術を守る仕事場の職人、 東京大空襲の猛火で真っ黒に焼け焦げ、半世紀を経て黄葉に映えるイチョウの木、変貌する下町風景などを取材、1996年8月「東京下町の詩」写真集を発刊。そのなかから27点を選び、写真展のはこびとなりました。
 ぜひ御笑覧のほど願い上げます。

2002年7月
新里源治