懐かしの下町
佃島の詩
新里源治写真展

 銀座から程近い隅田川の佃大橋を渡ると、のどかな下町、佃島に一変する。ここは東京都中央区佃1丁目です。 
 1976年7月のある日、佃島を初めて訪ねた私は、木造家屋の軒が寄せあう路地の風情と下町気質の人々に出あい、東京にこんなにも、ぬくもりのある下町があったのかと吃驚した。と同時に、東京で最後の本物の下町だと感じました。 
 それからの私は、佃島の豊かな風情と、佃煮発祥の地佃島に残る4軒の佃煮屋、仮装を凝らして踊る、東京都指定無形文化財の佃島盆踊り、獅子頭と天保年間製作の八角神輿を差す、伝統のある佃の祭りなど、1980年8月まで撮影致しました。そして1984年3月、私の処女作となる「佃島の詩」を発刊致しました。 
 現在、時代の流れと開発により、佃島界隈は著しく変貌しており、それだけに今回展示した写真を懐かしく感じられると思います。  ぜひ御高覧の程願い上げます。

2003.2月
新里源治