カーニバルを追いかけて。
ニース〜ヴィアレッジョ〜ヴェネチア
フランスのコート・ダジュールから、イタリアのリヴエラの海岸に沿って駆け抜け、アドリア海の女王、ヴェネチアまでのカーニバルを見たいと思っていた。それが、この2月16日から12日間のツアーで体験できた。
地中海に面して農耕する民族の、春を迎える祭りは、大掛かりな山車が幾種類も繰り出すパレードで、観客を巻き込むのだった。
ヴェネチアは、街の成り立ちからして、サン・マルコ広場を劇場とする仮面と衣装に贅を凝らした個性の祝祭が、演技されていた。
私は、別なわたしに変身したい願望を、伏流水のように持っていた。しかし、ツアーに参加する前になって、体調がすぐれず、途上で入院しそうな不安感でいっぱいであった。
どんな写真が撮れるか、今回は家族も期待していなかったらしい。それが現像されたフィルムを見て、余裕があると家人が言ってくれたのは、なによりの喜びであった。
日本から、小物のお土産を沢山持って行き、祭りの人たちと、片言の単語でも楽しくコミュニケーションを交えながら、シャッターを切ったからかも知れない。
あの時、私はすでに変身願望を適えていたのだ。
椎名 ヒロシ
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