きさぬき ひろこ 写真展
「個人商店と語らふ」

 子供の頃、たまにお使いを頼まれて買い物に行った時、馴染みのお店に行くと、お店の人は声をかけて くれたり、おまけをしてくれたり、心配をしてくれたりした。
そんな時、子供心の不安さというものは一気に吹っ飛んでいた。
 現代は技術の猛急な進歩によって、自宅に居ながら買い物ができる時代になった。
 顔の見えない販売、マニュアルに乗っ取った会話、いつしか自分も機械を相手にしている気になる。
 単純に物を買うだけなのだが、対面販売を通して会話が生まれ、そこに心が繋がり、実に気持ちがいい。
個人商店では、そんな体験が日常的であり、話題は創業当時の話や、将来の展望、そして次世代へのメッセージと、とにかく豊富である。
 人との原点はコミュニケーションをする事だと思う。 それは、どのマニュアル本にもない、その人個人の独自の個性から浮き出してくるものであると思う。


2004年9月
きさぬき ひろこ