NHK文化センター光ヶ丘教室
第4回 ―ひと・みなおなじ―
福永一興のフォト講座作品展


展覧会に思うこと

 私事ですが1月に10年ぶりに14回目の「記憶の中に…川越」作品展を開きました。この個展の根底には相田みつをさんの言葉の「感動とは感じて動くとかくんだなあ」がありました。写真には記録性、創造性の表現方法に二面がありますが、作品としてのとらえ方は伝達であり表現、創作として資質の高さが要求されるものであるはずです。難しく考えることでなく、忘れてはいけないこととして、作成する側と観賞する側との間に「感動」の関係が生じなければ自己陶酔の一枚の紙でしかないと思います。プロであろうがアマチュアであろうが、撮影するときには被写体に感じるからこそ動く、シャッターを切る正にこの言葉通リだと思いませんか。作者が感じるからこそ観賞する側も作者の心理を想像したり、または鑑賞者の環境で感じるわけです。

 今回のNHK文化センター光が丘教室の作品は、受講生がそれぞれの視線で撮影してきた複数の中から、ひとつのテーマに絞り構成しました。傑作作品を展示する作業は指導する側としては、とても楽です。それは大半の人たちが1枚の傑作作品に酔っているからです。作者の意図をくみながら複数枚で表現することは、大変難しい作業でありますが、うまくまとめることが出来た作品は意味深いものと感じています。それぞれの作品には思いと思い込みを持って被写体に向
かったその時の感じが伝わるだけに、作品の選択や会場の構成にはかなりのエネルギーを要します。

 撮影することに楽しさを感じ展示したときの反省がまた次回の作品展に、必ず生きてくるはずです。

2010.3.26 写真家 福永 一興